6月, 2021年

強烈な違和感を感じたこと

2021-06-29

〈強烈な違和感を感じたこと〉

はじめにお断りしておきますが、これは私見です。
昨夜放映された日本テレビ系『深イイ話2時間SP』内のラミレス氏家族の兄弟についての番組の取り上げ方には、障がい児とその兄弟を持つ親として、
とても違和感を感じました。
兄弟児は障がいを持つ兄弟(姉妹)のために存在するものではありません。

我が家の場合で言えば、障がいを持つ二男に対して優しく思いやりを持って接してくれる長男には心から嬉しく思い感謝していますが、
私たち夫婦は彼に弟の世話を強制したりサポートすることを過度に望んだりはしませんでした。

彼には彼の、弟である二男大志には大志の、それぞれの人生があるからです。
長男のような兄弟児は、それでなくても様々な悩みや家族にも打ち明けられない葛藤を抱えたりしているものです。

それを、ラミレス家では3歳という幼い年齢で「僕はケンジ(お兄ちゃん)のために生まれて来た」と思わせている事に、
「おいおい、それは違うぞ!」と思ったのです。
映像を見ると、弟君は自発的に兄ケンジ君を優しくサポートしていました。
それ自体は涙が出そうなほど健気で美しい姿でした。

ただ、弟君。君は君の人生を生きていいんだよ。
お兄ちゃんを大切に思う気持ちは素晴らしい。
でも、君は君らしく生きて幸せにならなくてはいけないよ。
誰かのためだけに使命を持って生まれて来たなんて、
そんな十字架を背負う必要なんて何もないよ。
そう弟君に伝えたいと思いました。

もしかすると、ラミレス氏本人が番組の取材担当者に伝えたかったことと、
実際の放映内容に乖離があったのかもしれません。
番組の演出という部分でラミレス氏家族の意向とは違うものになっていた可能性もあります。
でも私は同じダウン症児を持つ親として、黙っている事が出来ませんでした。
これはあくまでも私見です。
色んな意見もきっとあると思います。
今回、私と家内は同じ感想でした。とても考えさせられる番組でした。

保護者は我が子である障がい児の家庭内での療育・介助は当然とはいえ、今や幼児期から高校を卒業するまで支援教育があり、放課後等デイサービスがあり、短期宿泊も可能という本当に有り難い時代です。
高校卒業後はグループホームでの生活支援介助も受けることが出来、
兄弟児がその人生を捧げるが如く四六時中サポートをしなければならないとは考えにくい福祉サービスが充実しています。

そして、こうした制度を構築して下さった先輩保護者さんをはじめ、
愛深き教育者の皆様、行政の方々、多くの皆様のお陰で私たち家族も助けられています。
心から感謝いたします。

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